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里ごころ水心  

シカの歯に黄金キラキラ?

 昭和六十二年四月十七日の山梨日日新聞に「シカの歯に黄金キラキラ」同五月十六日には「金歯のシカもう一頭いた」の記事が掲載された。捕獲したニホンジカの歯に金らしいものがべっとり張り付いていたという内容だった。 シカが生息する身延町など南アルプスには武田信玄公の時代から昭和初期まで砂金の採取が行われていたので、「シカが砂金入りの泥を嘗めたのではないか」、「宝探しブームに拍車」と記事は結んでいた。 あれから二十年、砂金採りはブームを超え実用的な遊びとして定着したようだ。かなりの数の人たちが南アルプスに入り込むようになった。 身延町の湯之奥金山博物館にはどこからか採取してきた砂金を碁石のように溶き固めて刻印を押してもらうマニアや採取道具一式を博物館に預けて定期的に山奥に入るグループまで出てきたという。ただしどこで採れたかは皆口をつぐむらしい。中高年が多いらしいがタバコの灰くらいの粒をこつこつ集めて自分なりの金塊を作り眺めるのは高尚な趣味だと思う。
 


シカ指南の砂金と塩

 さて、シカが泥を嘗めるのは塩分やミネラルを補給するためだとされる。長野県の大鹿村に鹿塩温泉がある。中央道松川インターから三十分くらい入ると南アルプスの山懐に抱かれた集落に着く。大昔ここで湧く水をシカが飲んだことから塩泉と分かり、これを沸かして温泉にしたり、煮詰めて塩を生産してきた。鹿塩温泉の宿では地元産の大豆で作った豆腐にこの塩をつけて食べさせてくれる。苦味のない塩味と豆の甘さがよくマッチする。  


「塩の池」伝説

 ここと南アルプスをはさんだ向こう側に早川町の奈良田地区がある。ここには「塩の池」の伝説がある。塩がなく困った奈良王が八幡神社に祈願したところ、御手洗池から塩水が湧くようになったという。実際に塩を抽出したり調理に使った泉が残っていて、ここの水をポンプで汲むと塩気で機械がだめになってしまうそうだ。 鹿塩と同じくここにも名湯がある。泉質は「ナトリウム塩化物炭酸水塩泉」で塩が成分に入っている。鹿塩の源泉は海水と塩分がほぼ同じで「塩辛い」が奈良田の湯は飲みやすく肌もつるつるになる。沼津から来た家族連れは「今まで行った中で一番効くので暇さえあれば来ている」とうなずきあっていた。  


食害というありがたくないブーム?

 シカは砂金のあり場所も塩の泉も教えてくれたので人間の友だちでもあったが、近年、数が増えすぎて高山植物や木の樹皮を根こそぎ食べてしまう「食害」を招いている。東京都の水源になっている甲州市の山に分け入ると、そのすごさを目の当たりにする。
 柳沢峠から丹波山村に向かう途中を一之瀬高橋方面に左折して林道を走ると笠取山の登山口がある。手付かずの広葉樹林に覆われた登山道は苔が密生していて、ふわっとした緑のじゅうたんの中を歩いているようだ。 水源林だけにいたるところにせせらぎが流れ空気もひんやり、しっとりしている。頂上の直下には「水干(すいかん)」がある。多摩川の最初の一滴が落ち川が始まるスタートポイントだ。石の細い割れ目からぽたぽた落ちる水を手にためて味わってみる。全くくせがなく出来立てという感じがする。この水を育む豊かな緑が食害にあっている。樹皮をかじられて立ち枯れになった山を回復するために植樹しても端から食べられてしまうので、幼樹をぐるりと囲むように筒状にし、ネットで守っている。
 はだかの山腹に筒が並ぶ姿は異様だ。そこで北海道のエゾシカのようにシカ肉を特産品として開発しようという動きが出てきた。


「ジビエ」料理に舌鼓

 フランスなど欧米では「ジビエ」料理として野生肉を尊ぶ伝統があるが日本でも山つき地帯の温泉宿では刺身やステーキ、鍋物にして出すところがある。  金歯のシカがいた身延町の大城川を遡って安倍峠を越え、静岡側に下ると信玄の隠し金山があった「梅が島温泉」に出る。家族経営の宿はご主人が猟師をしていて、入手したシカ肉をマリネにして出してくれた。薄くスライスした肉の下にオニオンとトマトを敷き粒コショウと塩、ワインビネガーで味付けした一品で、さらっとした甲州葡萄の白ワインによくあった。 南部町には十枚温泉があって、ここでは囲炉裏端でイノシシ鍋、シカ刺し、山菜料理を味わった。こちらは焼酎のお湯割りがすすんだ。

「お印」はゴヨウツツジ

 梅が島の宿でゴヨウツツジを見ていけというので県境の安倍峠に戻り八紘嶺に向かった。ゴヨウツツジは愛子様の「お印(しるし)」で身の回りの品などに徽章(きしょう)として用いている。五枚の葉に可憐な白い花をつけ、峠からすぐの尾根道に群生していた。ちなみに皇族のお印は天皇陛下が榮(えい・桐の一種)、皇后陛下が白樺、皇太子殿下が梓、雅子様がハマナス、秋篠宮の悠仁親王が高野槙、香淳皇后良子様のお印・モモは山梨の春をあたたかく飾っている。

著者紹介
里見 建(さとみ けん)

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